2011/10/06

まだまだ山の中

イミルシルの美しい湖をあとにして
私達は砂漠へ向かうべく、山道を登っては下ってを繰り返していた。

           THE 山の道 



茶色い山肌の風景ばかりの土地は、川も干上がり、
木もろくに生えてない寂しい風景が続く。

だんだんと川に水が滲むようになってくると、
放牧されているヤギや羊がお目見えし、
最後に人が暮らしていそうなにおいがしてきて、
谷を越えると一気に緑色に染まる世界が見えてきたりする。

枯れた世界から突入する緑の世界は、とっても生き生きしていて
なんだかすごくうれしい気分になる。





こんな山奥でも人は暮らしていけるんだな。

アトラスは雪も降り積もる大きな山の連なりだ。

春には雪解けの水が川を潤し、その水で畑が作物を実らせ
人々の生計が成り立っている。

確かに山の生活は厳しいだろうけど、まだまだこうやって自然の中で
生きてる人が沢山いる様子を間近で見ると、自分の住む世界がいかに
小さい所なのかを思い知る。


だからと言って、こんな山奥に住みたいとは思わないけど
彼らが決して無くしていない、原始的な人間の底力というものには
テクノロジーの進歩がどうこうとかよりも、私は興味がある。

この世に絶対残っていってほしい、人間の本能、動物的な感覚。

こう言う暮らしがある限り、そう簡単に無くなるものではないと思うけど。


          山で働く女達。カメラを向けると、ロバの陰に隠れ足早に逃げていった


              


              モスクのカーペットを川で洗う少女たちに混じってみた



この日は、到底人なんぞ現れないような所を歩いていたモロッコ人の
ヒッチハイカーを拾ってあげた。

山の中だけど、決して涼しいとはいえない気温の中
このおじさんはイスラム帽をかぶり、ジュラバの下にセーターを着込み、
その下にきれいなワイシャツを着ている。

すごく立派な身なりだ。

20キロ先の集落までという事だったので、私は後ろのベットに
移動し、おじさんを前に座らせてあげた。

しかしこのおじさん、一言も喋らない。

ジェスチャーを交えてコミュニケーションを試みるも、ウンともすんとも言わない。

ガタガタの山道に耐えようとしているのか、多分心の中で
コーランでも唱えて、自分の世界に集中しているようなのである。

私達は、口がきけない人なんだと思っていた。

ラマダン中の彼は、車が停車するたびに外に唾を吐いていた。

唾も飲まないほど、厳格なイスラム教徒だったのだろう。

気まずい空気が車内を覆い、しかもベットに寝っころがりながらの
山道はすごくきつい。

2時間ぐらいして、目的地についてもいい頃だったんだけど
おじさんは「まだまだ」と首を振り、一向に降りる気配がない。

結局最初の会話が成立してなかっただけだと思うけんだど
私がもう限界だったので、小さな町にあったモスクの前で
降りてもらう。

多分あとから来る車が拾ってくれるだろう。

最後に「ショクラン(ありがとう)」と言ったので、完全なミュートでは
なかったらしい。

お金をくれようとしたが断って、私達は先を急いだ。




さてさて、助手席はやっぱりいいね。
普通の山から景色が徐々に変わってきたとおもったら
こんな風景が目に飛び込んできた。

キャニオンだ。




その先を行くと、またさらに違う風景が飛び込んできて
最高に面白い山道ドライブだった。




私はガイドブックを持っていかなかったので、ここがどういう
所か分からなかったんだけど、帰ってきて色々しらべたら
「ダデス峡谷」「トドラ峡谷」とかいう、有名スポットだった。

知らなかった・・・・

そういう感じで、ただ通り過ぎていったところが他にもたくさんあると思う。











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