2011/10/11

砂丘の日

静かな砂漠に朝日が昇り、2時間もすれば太陽ビームがガンガン降り注ぎはじめ、
昼になった頃には、暑さでグダグダになった。

ムハミド砂漠二日目は、砂丘に出かける。

私達は自分らの車があるので、勝手に行くこともできたんだけど
もし万が一砂漠の中で何かあった場合、大変なことになるので
ガイドをのせるか、ツアーに付いて行くかという話をしていた。

そして、運良く他にツアー客がいるとの事だったので
彼らが泊まっているホテルへと出向いた。

ツアー客はオランダ人ファミリー。
豪華なホテルのプールで悠々と泳いでいた。

休憩をかねて泳ぎに来ているホテルの従業員が、プールサイドでモジモジしていた。

「絶対ムリ!寒くて入れないよー」

外の気温は多分40度ぐらいあったと思う。

だけど、サハラ砂漠の住民にとっては、これは「暑さ」ではなく
「ちょっと肌寒い」ぐらいの感覚になるんだろう。

意を決して、プールに飛び込んだ彼。

しばらくして上がってきたら、唇が紫になって震えていた。

2週間前まで、日中は50度もあったサハラ砂漠。
今では40度前後の気温に落ち着き、夏が終わったと言っていた。

熱いでしょー、どう考えても!!!

私達外国人には耐え難い熱さだったので、砂丘への出発は
日が沈む前ということになった。

オフィスではツアー料金の交渉が難航して気まずい雰囲気になり、
険悪なムードが漂った。
だけど、こんなに値切るやつは見たことがないというところまで
下げてもらった。

お前はベルベル人かと何度も言われていた。

アラビックの商売方法もすごいが、マーカスの値切り方もすごかった。
どこでどうやってこういう技を身に着けたのか知らないが
彼の値切り方は、相手に怒りを買われることもしばしば。

私はこういう場面が物凄く苦手で、逃げ出したくなる時があるほど。

だけど、心臓にサボテンの棘がみっしり生えているマークスに
「図々しい」という言葉はない。

この強靭な精神力に私は支えられ、何度も救われてきてはいるんだけど
見ていてうんざりする時もある。

今回も勝った。

握手で交渉終了。

私達は、食堂で待機することになった。

その間、ホテルの従業員が入れ代わり立ち代りやってきては
モクモクとジョイントを吸い出し、歌を歌いだしたり
ジャンベを叩きだしたり。。。。

サハラ砂漠のジャムセッションが始まっていた。

すごすぎる。

アラビックミュージックではない。

サハラ砂漠の遊牧民音楽が、目の前で繰り広げられていた。

この衝撃と感動は、絶対一生忘れられないものになるでしょう。

さて、砂丘でサンセットを目指して、ホテルを出発して
道無き砂漠のピスト(車輪の跡)を追って進んでゆく。
それにしても、この砂漠で見かける殆どの車が、私達と同じ
ランドクルーザーで、しかも同じモデルの車が多い。
世界中の砂漠地帯で重宝される日本の車。
「わしら、トヨタのおかげで暮らしていけるんですぜ」
ツアーガイドのオッチャンが言っていた。

          おお、兄弟達よ!

マーカスは目をキラキラさせて楽しそうに運転をしていた。
ランクルも、水を得た魚のように彼の本領を発揮していた。

砂丘に到着。
読んで字のごとく、ホントそのまま、砂で出来た丘だ。
どこまでも砂で、そしてきれいな曲線を描いた丘が
ドーンと広がっていた。



日が沈み、夜になってきれいな星空が見え始めた。
1日違うだけで、こうも違うとは!!!
こんな静かな日に来れた私達はラッキーだった。

みんなで夕食を食べ、ガイドのオッチャンがバンジョー片手に
歌いだした。
いつまでもずーっと聞いていたい、砂漠の音楽だ。
みんながそろそろ寝る仕度に取り掛かっても、そんなの
おかまいなく、彼はずーっと歌を歌っていた。

「ワシはね、歌を歌うことが大好きなんだ。
音を奏でることは、なんて幸せなことなんだろう!
生きるパワーでもあるよ。あー、もう最高!」

子どもみたいな目をしてこう語るおっちゃん。
ミュージシャンの名を語らずとも、こんなにも音楽を
愛して、とにかく楽しんでる人たちがいる。

さっきのジャムセッションもそうだけど、本当に心が動かされる
音楽というのに、ここでまた一つ出会えたことに、
私もすごく幸せだった。

そしてそんな幸せな気持ちのまま、砂丘の真ん中に
寝床を作り、生ぬるい夜風に吹かれ、満点の星空の元
眠りについたのでした。


サハラの写真を少々・・・










          オランダのツアー客。ツアーに含まれるベッドサービス
            値切りすぎると、こうなります 笑。


           だけど、砂の上って、気持ちいいーー

0 件のコメント:

コメントを投稿