イミルシルから山を越え一気にフェズという、モロッコ最古の都に行った。
古代都市のフェズは城壁の中に町があり、その町並みは間違いなく世界最大の
巨大迷路都市だ。
一度入ると、なかなか抜け出せない。
目印になりそうな高い建物も、町の中からは全然見えないので
方向感覚を失ってしまう。
なので太陽の位置だけを頼りに、あとは適当に迷ってみる。
この大きなモスクも、街中からだと一切見えず・・・
とにかく狭い路地が迷路みたく入り込んでいて、そこに何百件もの
商店が軒をつらねる。
その道の隙間から、いきなり荷物をどっさりのせたロバとか馬が出てきたりする。
もちろん観光地なので、外国人がたくさんいる。
ここはモロッコで3番目に大きい都市だけど、マラケシュなんかよりも
全然面白かった。
街のいたるところにある水飲み場。モザイクがモロッコぽい
迷ってたらたどり着いた皮の染色エリア。何色あるんだろー??
そして、ここが買い物戦最後の土地。
探し物がまだまだあったので、色々な店を回ってみるが
やはり、ここもメチャメチャぼったくられる空気が漂っていた。
カモなんです、まさに。特に日本人は。
これは、日本人買わないか・・・
生地屋で、食器屋で、バブーシュ屋で。
マークスも結構本気でアドレナリン出ちゃうくらいの真剣勝負をしたり、
私も私で店の兄ちゃんとケンカになりそうになったりして、
改めてモロッコの商売人の根性の汚さを再確認する1日となった。
彼らの商売の仕方だとは言え、自分の良心は傷がつかないものかと
人格を疑いたくなるくらい、とにかく酷いぼり方をする。
そういえば、食堂のおばちゃんにもぼったくられたっぽい。
いちいち嫌な思いをすることになるので、この国では金銭が絡むことを
極力避けたいんだけど、私にはどうしても欲しいモノがあった。
それはバブーシュ。
柄も色もすでに確定済み。
本場モロッコの皮のバブーシュだけは、何としても買って帰りたかった。
何件か店を周って、ついにそのバブーシュを見つけた。
もちろん、値段などついていないから、聞いてみるも
日本より高い値段を吹っかけてきた。
まあまあまあ。
それは慣れっこなんだけど、いざ交渉に入ると全然引かない。
どこまで絞りとるんだ、この兄ちゃん。
結局腹が立ちすぎて、買わずに店を出た。
ホントに探してたものなんだけど、こんなヤツにお金を払うくらいなら
諦めたほうがましだと思ったからだ。
正直モロッコでの買い物なんて、値段は大した問題じゃない。
そりゃ安くなるに越したことはないけど、どの道日本で買うより全然
安く買えるんだから。
要は気持ちの問題だ。
最終的に気持ちよく買い物できるかどうかが重要なのだ。
さてさて、もう買い物戦は終わりにしようとトボトボ歩いていると
通りの片隅に、地味ぃーーで小さなバブーシュ屋さんがあった。
売り場なんて、ほんの1畳ぐらい。
だけど、そこで目に飛び込んできたものは、まさしく私がさっき
諦めて買わなかったバブーシュたち。
またここでも戦わなきゃならないのかと思うと、気が引けたんだけど
一応値段だけ聞くと「80ディルハム」。
約8ユーロ。
さっきの店では26ユーロだ。
ナンなのこの差!!!
一応ちょっと値切ってみる。
そしたら、値引きしてくれて70ディルハム!
お兄さん、神ですか?
最後、このお店で買い物が出来てほんとによかった。
私はありがとう、ありがとう、本当にありがとうと何度もお礼を言って
握手までしてもらった。
たかだか1足のバブーシュを、しかもほんのちょっと負けてあげただけで
こんなに礼を言われているお兄さんはキョトンとしていたけど、
この悪徳アラブの商人が蔓延る観光地で
こんなに正直に商売をしている姿に、私は鳥肌が立つほど感動してしまった。
フェズの最後、というかモロッコの最後。
このお兄さんの正直さと、ごくごく当たり前のフツーの笑顔に救われたと言っても
過言ではない。
交渉戦の疲れも一気に吹き飛び、清々しい気持ちだった。
その後は巨大迷路の街を迷いながら、何回も同じ通りを行ったり来たりして
日が暮れる前には、なんとかメディナを出ることができた。
それにしても意外に面白かったフェズ。
買い物の荷物で両手がふさがり(主に、にんにく2キロと野菜類)
シャッターチャンスを多く見逃してしまったのが、ちょっと悔やまれる。
モロッコの滞在も残すところ3日。
あとは、あの゙最初の゙モハメッドファミリーが住むナドールに寄って
帰るだけとなった。
ああ、早く日記終わらせたい・・・・
続