ものすごく具合が悪くなってしまい、ソファーで横になる。
だけど、そんなことはお構いなしに、友達やら親戚やらが次々と
この「珍客」を見にやってくる。
熱まで出始めて、はぁはぁ言ってるのにテンションの高い女たちに囲まれ
一緒に踊ろうという人まで現れる。
言葉も通じない上、なんとかジェスチャーで「眠りたい」ということを伝えるが
なかなか分かってもらえず、結局夜になって食事を終えて完全に就寝時間に
なるまで、休むことができなかった。
翌日マーカスはウジェルのトマト栽培を手伝いに出かけ、
私は強制的に女達と1日を過ごすことになる。
私もトマトハウスに行きたかったのに・・・
まずお風呂に入りに行こうといわれ、
ハマンみたいなところにみんなで行くのかと思ったら、
私を洗う係の女が待っていて
身包みはがされ、洗車するかのごとく乱暴に洗われた。
そのあと喉をやられるといけないからといって、
らくだ色のタートルネックのロンTを着せられ、
それからみんなが履いているようなダボダボのロングスカート、
その下に履く長ズボンもプレゼントだと言って着替えさせられ、
私が着ていた服は洗濯機に放りこまれた。
私を洗ったおばちゃん、ムネヴェㇽ(同い年) |
そしてメインイベント。
「日本人のお披露目会」が始まったのである。
まず頭にスカーフを巻かれ、なぜか靴まで履き替えさせられて
村中の家を1件1件訪ねる。
親戚から親友から息子の友達からとにかく隅から隅まで訪ね
私を見せに行くのだ。
最初の数件は、いろんな人に会って家の中の様子を見ることができたり、
家ごとに出すお茶やお菓子を楽しむことができたけど、
さすがに1日中それをやると、目が回るほど疲れてしまった。
体調だって、まだ万全ではなかった。
そしてこれがもう1日続いた。
翌日村を歩くと、昨日会った人たちがみんな声を掛けてくれる。
「コトミ~、コトミ~」。
ほんと冗談じゃなくて、私の名前が通りに響きわたる。
小さな子供も意味もなく、私の名前を歌を歌うように叫んでいる。
家に帰ると、イエテルもさすがにつかれてグッタリしているけど、
この村にプライバシーというものは殆どなく、
勝手にまた、私の見物客が家に押しかける。
マーカスはというと、誰からも束縛されることなくウジェルの手伝いを
ひたすら楽しんでいた。
寝る前に私が半分愚痴まぎれに今日の出来事を語ると、
「良かったね~、みんなにかわいがってもらえて」
と喜んでる様子。
・・・・違うんだってば!!
翌朝2階にあるベッドルームからベランダに出ると、早くもコトミコール。
私が起きてくるのを見ているのか誰か分からず、ちょっと怖くなる。
結局前の家に住んでいる女の子が、キッチンにある小さな窓から
私の名前を叫んでいた。
この日はパンを焼く日。
この村のパン焼き釜は2つしかなく、そのうち1個がイエテルの
家の庭にあって、近所の人が続々と庭に集まりパンを焼いていた。
このエリアで食べるパンも、ナンに似たようなもので平たくのばして
釜の内側に貼り付けて焼くというものだった。
月に何度かまとめて焼いて冷凍保存しておき、
食事の毎にこれを自然解凍させて食べるのである。
パン作りは楽しかった。
みんなそれぞれに集中してやらなくちゃいけない仕事があり
少しでも私から目が離れるので、
その隙に部屋に駆け込んで、ブログを書いたりしていた。
まあそれもつかの間、みんなの仕事が終わるとコトミ探しが始まり、
すぐさま見つかってしまいまた囲まれて連れ出されるのだった。
0 件のコメント:
コメントを投稿