りんご畑で出会ったおじさんのお家に到着。
こんな言い方をしたら失礼だけど、おじさんはかなりボロボロの身なりだったので
お家の方はいったいどんなんだ?と正直思ったりもしました。
しかし、そんな身なりからは想像つかないほど立派なお家に住んでいました。
こういうのは体裁を繕ってばかりの国からきた人間にとっては、ハッとさせられる瞬間です。
そして、出迎えてくれたのはおじさんの奥さんと息子、そしてその息子の美しいお嫁さん。
この息子は少し英語が話せる人だったので、なんとか意思の疎通ができたのでよかった。
分からない言葉は、スマートフォーンの翻訳機能を駆使したりと、こんなに小さな田舎町にも
普及しているんだと驚いたものだ。
しかし、情報閲覧の規制が厳しいイランでは使えない機能の方が満載なので、持っていても
あまり使えないと嘆いていた。
おじさんの奥さんは玉のようにマルっと太った明るいオバちゃんで、私達を家の中に通すなり
親戚やら友達に電話しまくっていた。
そうそう、イランの人はとにかく良く電話をする。
1日1回は親戚、親兄弟と連絡をとりあうし、私達が前に泊まらせてもらった家族からも、
毎日携帯に電話がかかってきていた。
郷に入れば郷に従えなんだけど、さすがにこれはきついので、携帯電話は極力電源を
OFFにしておいた。
そうでもしないと、毎日毎日「無事か?元気か?今どこにいる?何を食べた、誰に会った?」など
確認の電話が入るのだ。
そういう確認作業がイランでは習慣になっているんだと思う。
しかし、そんな習慣がない外国人にはたまったもんじゃない。
親切心から電話してくれるのは分かるけど、けっこうウンザリな出来事だった。
この日も、今日何度目になるのか、お母さんはシラーズにいるお姉さんの家に電話を
かけていた。
「今、外国人の人が家に来てるよ」
と、おじさんが私達に会い、ここに連れてきた経緯を大笑いしながら説明している。
そうして、こちらに電話を渡されれば、自己紹介がてら挨拶するのだ、覚えたてのペルシャ語で。
受話器の向こうには一人、英語が話せる女性がいた。
「シラーズに着いたら、絶対遊びに来てね」
ここでも嬉しいお誘いをうける。
夜も10時過ぎたところで、イランの遅い夕食が始まる。
今日はなにかな ?
夕飯はもう済ませてあるのに、何がでてくるのか密かに期待する私。
まだ、食べるんかい!
この日の夜ご飯は、キャベツのピラフに、ニンニクの酢漬け。
添えてある野菜は、激スッパなイランのピクルス。
私はぜったい食べられないけど、つわりの妊婦並に酸っぱいもの大好きのマークスは
イランの食べものでは、これが一番美味しかったと言っている。
だいたい、イラン人の酸っぱいもの好きは尋常じゃない印象があって、何がすごいって
まず青梅をそのまま食べる。
熟す前とかそういうレベルじゃなくて、青くて硬いカリカリの梅の実に塩をふって生で
食べてしまうのだ。
こどものおやつにも、もちろんこれが出てくる。
生食でいうと、ソラマメも皮を剥いて生で食べてたなー。
ドイツでは梅や豆など生で食べ過ぎると中毒を起こすからと、子供なんかには特に注意を払う
ようだけど、 イランではもう主食並みですよ、とくに青梅なんかは。
ああ、ビックリ!
食事のあとは、お風呂に入って寝てしまうといういつものパターン。
個室にお布団を2枚敷いてくれて、なんだか日本の旅館を思い出す。
良きおじさんに出会えた今日の出来事に感謝しつつ、眠りにつく。
翌朝、この日はイランの休日の金曜日。
おじさんはお弁当を持って、ピクニックに出かけて行ってしまった。
私達もそのままおいとましようと思ったけど、お昼ごはんもご馳走してくれることになったので
お昼になるまで、近くの滝などに行って時間をつぶした。
滝の周りはピクニック客で大賑わい。 |
ガンバリ家の息子さんと |
お昼時家に戻ると、またまたマルっと太ったかわいい女性が3人加わり、お母さんたちと
おしゃべりに花を咲かせていた。
私達見たさに集まった近所の親戚らしい。
ここの家の人たちはガンバリという苗字なんだけど、お母さんの旧姓もガンバリで
母方ガンバリ一族は、みーんな太っていると言っていた。
どうやら家系なんだそう。
世代にもよると思うけど、太った女性は冨の証として男性に人気なので西欧社会とちがい
オデブさんもそんなに悪いイメージじゃない。
よく食べて、よく肥えてる人は元気そのもの。
病的な肥満でない限り、大きい女性もかなり受け入れられている、そんな豊かな国なのです。
さてさて、お昼ごはんはおなじみのゴルメサブジ。
お嫁さんが作ってくれたけど、使った野菜が冷凍でした。
だけど、そういうのもありみたい。
多分時間がある時にたくさんストックを作ったのでしょう。
相変わらず美味しい料理です。
サブジの前にあるのが、御飯を炊くときに一緒に作るジャガイモのおこげ。 |
そんな感じで、前回同様お昼ごはんを頂いたあとは、サラッと笑顔でお別れ。
ありがとう、ガンバリ一家のみなさん!
シラーズの親戚一家のお家にもきっとお世話になりますと言い残し、りんごの里
セミロンという町を去ったのでした。
続
続
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