2009/11/23

中央アジア旅のまとめ(2)

【FOOD】

中央アジアの食べ物。

「素材」のクオリティーはすごく高いと思う。

だけど調理の仕方にあまり工夫が見られず、よく言えばものすごーく素朴

悪く言えば、一辺倒で素材が生きていないし、料理の種類もそれほど多いと

いうわけではないかな。

庶民の台所はもっぱらバザールである。

バザールに行けばどんな食生活をしているのか分かるし、値段なども

見比べて、庶民の生活レベルがどれぐらいなのか分かってくる。

そして食材の値段がわかれば外食してぼったくられそうになった時に戦える!

肉なんて殆どオーガニックなんじゃないかな。

それは遊牧民や放牧をしている人の数を考えれば明らかである。

食べる肉の量も半端ではない。

キルギスなんかでは、庭の一角の柵の中に羊がギュウギュウに入れられていて

まるで家庭菜園ならぬ、家庭羊園。

庭先でハーブを摘んでくる感覚で、庭先から羊を連れてきてバラして食べるのだ。


そして野菜が美味しい。

大振りだけどちゃんと野菜の味がする。

その中でもトマトがメチャメチャおいしい。

国産が当たり前。

国産というか地元産。

種類は少ないが、土地で取れたものが余すことなく、土地の人たちによって消費される。

日本みたく、自分たちの国で作れないものも、作れるものも何でもかんでも

輸入しまくって、国産の品物が一番高いなんてアホなことはありえない。


中央アジアといえば、メロン、スイカ、ぶどう。(知らなかったけど。。。)

メチャメチャ甘くて美味しい果物が激安で買える。

買えるというかその辺でもらえる。

だけどスイカなんか10kぐらいあるから、二人で二日かけても食べきれず

最後には犬にあげたりしてた。

ぶどうもタジキスタンなどでは玄関先で作ってる人が多く、季節になると

頭上の柵にいっぱいのぶどうがぶら下がっていた。

料理については、あまり褒められたものではないというのが正直なところ。

とにかく肉とそのアブラの量ったら半端じゃない。

あるお家で頂いた「ショルポ」という、羊肉と野菜のスープは冷めたら半分ぐらいが

油になって固まってしまった。

だけど、この油分こそ最高に美味しいものとされるらしい。

マグロでいったらトロの部分、そんなところかな。

だから、目上の人や客などには決まって油の部分が配られるのだ。

そして、野菜といったら決まってキュウリとトマトを塩で和えたサラダ。

どこの家に行っても、これだけは必ずと言っていいほど出てきた。

ベースとなる食べ物は、殆どがホームメイド。

うどんも打つし、パンも焼くし、マントゥという餃子のようなものも皮からつくる。

特にナンと呼ばれる平たくて丸いパンは主食で、インドのナンとは違うんだけど

キルギスの南の方からは家庭用タンドールなるものが現れ、各家庭で1日置き

ぐらいにこのナンが焼かれる。

朝昼晩殆どナンなので、大量に焼かなければならない。

だけどいつでも焼きたてのパンの匂いが漂うお家っていいよなぁ。。。

カザフスタンやキルギスの北のほうでは、家庭で焼く習慣があまりないので

店に行けば買えるんだけど、家庭で焼くエリアに入ると、店先にナンがあることが

滅多に無いので困ることがしばしばあった。

見つけたとしても、買いだめできないのがつらいところ。

1日も経つと硬くなりまずくなってしまうからだ。

その硬くなったナンを無駄にしないで食べるのが、タジキスタンの「シールチャイ」。

例の塩バターミルクティーに浮かべて食べれば、硬いナンも捨てられずに済むのです。

タンドールはまさにインドのタンドリーと同じようなものだけど、

そこではパンしか焼かない。

タジキスタンでは一家に一釜あるのが当たり前だし、都市部の団地みたいなところでも

各棟に2台ぐらいの共同釜が外に設置され、主婦が朝からせっせとナンを焼いていた。

都会に住んでもナンだけは釜で焼くなんて素敵だな。

「井戸端会議」で知られる日本の昔の長屋にあった井戸のように、

ここでは「釜端」で、おばちゃんたちのおしゃべりタイムが繰り広げられているのだ。

ちなみにこの団地に住むグリャという子は、もうすぐ釜デビューすると

言っていた。

自分たちの食事については、95%は自炊。

いやもっとかな。。。

外食は滅多にしない。

やはりお肉すぎるのと、脂がすごいのでホントにたまにで充分。

外で食べたもので美味しいと思ったものあまりがないのも残念。

強いて言えば、デゥジャンベの食堂で食べたラグマン。

トマトベースのうどんにヨーグルトとパクチーをかけて頂きます。

その土地独特のスパイスやハーブや米などは、是非とも食べたいので

買ってみて、自分なりにアレンジして料理を楽しんでます。

あとは人の家で食べさせてもらった物のレシピを聞いて真似して作ったり、

なんだかんだで飽きずにやっております。

やっぱ家庭料理はおいしいな。

そして、「もぉダメだー」という時に、日本から持参したコシヒカリを炊いて

日本食を頂きます。

ロシアで米までもが盗まれ、今となっては残っていた5キロの米をどのタイミングで

食べたらいいのか・・・

もったいなくて手もつけられなくなって1ヶ月以上が経っています。

根菜類は常に常備しておいて、その他の野菜はバザールで買ったり、

道端で売ってるおばちゃんたちの所で買う。

これもクルマ旅ならではの楽しみなんだけど

土地によって売られる物が変わってくるのを見るのが面白い。

道端では何でも売っている。

これはロシアからずーっとそうなんだけど、野菜や果物はもちろん、

蜂蜜、チーズ、スメタナ、魚、肉、ナッツ類、パン、キノコなどなど

その土地の名産品や旬のものが何でも手に入る。

卵なんかは工場産の物は黄身も白身かってぐらいとにかく全部白いし、

火が通らないようなものばかりなので、なるべく道端で買うようにしている。

道端で売ってるおばちゃんちの卵は平飼いなので、おいしい卵が買えるのだ。

バザールの卵屋さんでは、家獲れの卵は店先に並ばない。

格が違うから恐れ多くて他の卵となんか一緒にできない。

だけど多くの卵屋さんが隠し卵を持っていて、家獲れのものは無いかと聞くと

良くぞ聞いてくれましたと言わんばかりに、よろこんで譲ってくれる。

これを知ってからは、いい卵が苦労せず買えるようになってきた!

卵を食べる習慣があまりないエリアでは、店先でも売ってる事があまりなく

なかなか手に入りにくいので、まずはそのエリアの集落を周ってみて、

その辺でなんかつついてるニワトリを見付けたら、すかさず飼い主を見つける

ところから始まる。

ニワトリのコケコッコが聞こえる方に、あっちだこっちだ言いながら

車を走らせるという、卵探しに1日を費やす事もあった。

特にブリヤートが住む地域。(これはロシアでの話か)

家に行って卵を売ってくださいと頼むと、大抵の人は意外な訪問客にびっくりする。

少し高いけど、それだけ払う価値がある黄金の卵。

この旅で、おいしい卵を食べることに目覚めてしまった。

卵と同じく絞りたてのミルクやバターなども、牛を飼っているお家を訪ねて

容器を持っていけば大抵は譲ってくれる。

スーパーも便利で何でも揃うけど、こういう買い物の仕方のほうが好きだな。

子供の頃を思い出す。

豆腐は豆腐屋さんで買ってたし、コーヒー豆もコーヒー屋さんで

挽いてもらってたり。。。

そんな風景が今でも当たり前に見られます。

そんな感じの食生活です。

確実に良いものを食べているんだけど、やっぱ日本食が恋しい!!


 今一番食べたいものは豆腐。

ドイツに帰っても、豆腐なんて滅多にないのでやっぱ自家製しかないなぁと

考えてる所です。

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