2013/10/24

イランの温泉 サルエイン

穴場の温泉街を期待していたのとは裏腹に、イランの温泉リゾート地に来てしまった
私達。

それでも44度越えの温泉があるなら、何が何でも入りたい。

そんな思いを募らせて「garmish」という温泉場はないかと聞きまわる。

ここの温泉街では、ハイドロシステムでお湯を循環させてるところが特に人気らしく
次の入場を待つ客が列を成していた。

そのハイテク温泉から道を挟んだ反対側に、大分古い感じの温泉を発見。
これがGarmish温泉だ。

2時間ごとに男女が入れ替わるシステムで、お湯も全部入れ替えるという徹底ぶり。

最初はマークスが入り、私は駐車場で待機。

いよいよ女性の時間帯になり、水着を持参で入場。
入場料は50円ほど。

中に入りどのロッカーを使うか迷っていると、イラン人の美しいおばさんが「どうかしましたか?」と
ドイツ語で話しかけてきた。

ん??なんでドイツ語なんだ?

それからおばさんは「ああゴメンナサイね、英語は話せる?」と聞きなおしてきた。

どっちも話せますと言って色々話しをしている内にすっかり意気投合し、一緒に浴場へ向かった。

浴場は屋外にあって、20m四方はありそうな大浴場。

真ん中から源泉が湧き出ていて、お湯の色は天然温泉さながら、泥色に濁っている。

場内は水着着用で、熱すぎて入れない人たちがプールの縁に腰を掛けておしゃべりに
花を咲かせていた。

そんな中にやってきた謎のアジア人、わたし。

日本人だと言うと、ここでも大歓迎の嵐であっという間に囲まれた。

美しいイラン人のおばさんはテヘラン出身だけど、ドイツにはもう20年も住んでいる。

イラン革命のあと、祖国に愛想がつきドイツへやって来た。

「私はイラン人というか、もうすっかりベルリーナよ。イランには戻りたくない。」

ドイツにしっかり根をおろし、ベルリーナを自称する彼女。

「もしイランに居たら、ここの女性達みたいに学もなく、ただ子を産み家に閉じ込められる人生。
この人たち可哀想だと思わない?? 世間知らずにも程があるわ。
恥ずかしいったらありゃしない。」

そんなことを、周りのおばちゃん達が理解できないのをいい事に話す彼女。

故郷の人間をそんな風に言う事はないだろうと思ったけど、 イラン人女性として人生の
半分以上生きてきた彼女が口にした言葉。

並ならぬ努力でこの国を出てきて、自由を手に入れた彼女だからこそ、外側から彼女達を見て
言える言葉なのか。

イランに対しての苛立ち、そしてかつての自分を哀れんでいるような、何とも言えない表情を
浮かべる彼女がとても印象的だった。

だけど、

ここのおばちゃんたちが、もしもどっかの国に移住して自由を手に入れたら、果たして
それが幸せなのだろうか?

自由はあっても、人情がない社会があるというのを彼女達は知ってるのだろうか?

「ちょっと、肩もんでくれる?」

いきなり背中を向けてそんなことを言い出した、隣に座る大きいおばちゃん。

ムチムチした肌に触れながら、「こっちのほうが、絶対良いって!」と言いたくなった。

肩もみが終わると、今度は私のマッサージをしてくれたおばちゃん。

この人たちは、ここに居るほうが絶対幸せだよ!



ところで、温泉の話。

やっぱ熱いお風呂は、心に身体に沁みますねー。

44℃の温泉。

日本人の私的には、最初だけは熱いけど、慣れてしまえば最高のお湯加減。

しかし、地元の人にとっては熱湯で、お湯に浸かってる人は少なかった。

平気な人は平気みたいで、泳ぎまくってる人もいた。

1時間ぐらい出たり入ったりしながら、その世間知らずと言われるおばちゃんたちと過ごして
いると、いきなり大粒のヒョウが降ってきて、大嵐になった。

雷もバリバリ鳴っていたので、もうちょっと居たかったけど、怖くなったので退場する。

心身共にリフレッシュした後は、レストランが立ち並ぶ通りへ出て食事をする。

ほとんどの店先に、この辺の名物であるらしいヨーグルトにニンニクたっぷりみたいなスープが
大鍋に入ってぐつぐつ煮えていた。

腹ごしらえをした後は、山方面に向かい寝床探し。

山を登って行くと、この辺りはどうやらスキーリゾートだという事が判明。
スキー場に温泉街。

日本みたいだな。



山を登って頂上付近。
このまま越えられると思いきや、行き止まりだった。

なので、その行き止った所で車中泊。


 翌日、来た道を下ると遊牧民のテントが方々に散らばっているのが見えた。

夏はスキー場で遊牧民が放牧。

これは、日本にはないわね。



 続

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