2013/08/26

涙のお別れ


バス車内で結構ヘビーな話をし、夜のバザールから戻った腹ペコの私達の胃袋を満たしてく
れたのは、これまたイランのお袋の味、「ククー」という料理。


摩り下ろしたジャガイモに味をつけて、揚げ焼いたもの。
レモンではなく、シラーズ特産のオレンジ果汁を上から搾っていただきます。


最後の晩餐。

ガンバリ家のみなさんは、これといって特別なことはせず、いつもどおりの家族の一コマに
私達を加えてくれた。

そういうのがこの3日間とても嬉しくて、とても心が安らぐ滞在だった。

夕食後、みんなでくつろいでいるとレイラがまた翻訳機能を介してこんな言葉を打って
見せてきた。

「明日でお別れは寂しいけど、私達とたくさん楽しい時間を過ごしてくれてありがとう。
あなたも私達に何かを残して行きたいと言ってたけど、こうやって一緒に居られた時間が
何より宝物になったから、何もいらないからね」

レイラはニコニコ微笑んで、そう綴った。

私はもう涙をこらえるのに必死だった。

本当はもっと一緒に居たいよーと、レイラに抱きついて泣いてしまいたかった。

こういう旅をして、こういう出会いというのは今までホントに沢山あったんだけど、
ここまで気持ちが入ってしまうのは初めてのパターンで、メチャメチャ辛い別れになった。

気軽にまた会おうね!なんて言えない。
私がいつかまた来る事ができても、彼女達がドイツに来ることは金銭的にも不可能
だからだ。

暗黙の了解で、もう会うことはないだろうとお互い分かっている。

これが最初でこれが最後。

愛しい出会いと同時に存在した寂しい別れ。

とても気が重い夜を過ごした。


翌日、いつもどおりみんなで朝食をとり、家族の皆さんにお別れを告げ
レイラとナザニンは街まで送ってくれることになった。

街では両替をしたり、アイスを食べてブラブラしたり、明らかに別れの時間までの
時間稼ぎをしていた。

でも、もう行かなければいけない。

最後に、シラーズの思い出と言って2リットル分のローズウォーターをお土産に
持たせてくれて駐車場へと向かった。

私が駐車場の門番にお金を払い、車に戻るとレイラがマークスに抱きついてワンワン
泣いていた。

隣にいたナザニンも涙を流し肩を震わせていた。

それを見て私もこらえていたものが一気に噴出し、もう大泣き。

結婚してない男女が手をつなぐ事も憚られるこの国で、レイラは人目も省みず
男性の胸に顔を埋めているのだ。

マークスは彼女が泣き止むまで、優しく背中をさすってあげていた。

言葉はなくても、お互いどれだけを思いあっていたのかが、何よりも一瞬でわかる光景。

「あなたたちの事は一生忘れない!ホントにホントにありがとう。どうかお元気で。。。」

もう、涙と鼻水でグチャグチャになりながら、最後は無理やり笑顔を作った。
そして発車した車から、彼女達の姿が見えなくなるまで手を振った。

なんじゃこりゃーーーーー!!!!!

辛いぞ、辛すぎる。

たまたま出会って、4日一緒に過ごしただけではないか。
なんなんだ、この辛い感じは。。。  (書いていてまた泣いているという・・・・)

彼女達が私達に与えてくれた愛情や、また私が抱いた感情というのは筆舌しがたいものが
あるだが、私の方こそ、これは一生ものの出会いで、一生忘れられない思い出に
なったのだった。

シラーズの街を出てからは、泣き過ぎて胸が詰まってるし、
しばらく放心状態。

彼女達との愛しい時間を、思い出にして心に納めるまでちょっと時間がかかりました。

その後何日かはSMSでやり取りし、お互いの寂しさを綴りあったりしてましたが、
そうもクヨクヨしてられないので、新たな目的地、新たな出会いを楽しみにするほうへと
気持ちを切り替えた。

あー、それにしてもけっこう凹んだなー。

なんで今サヨナラを言わなきゃいけない??

久々にやるせない感情が溢れ出した。

だけどそれを乗り越えて私の中に残ったものは、別れの瞬間も含めて、心美しい人たちとの
楽しかった思い出ばかり。

そして、今もこう書いていて、いつかまた会いに行ってしまうような気がしている
自分がいたりします。

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