2013/08/14

真夜中のピクニック

家にもどると、さっそくお昼ごはんの準備をしてくれているガンバリ一家。

ここの家の次男は、元々イランレストランの料理人。

昨日の夕食といい、家庭料理のレベルが高いのにも納得。

今日は彼が腕を振るって魚料理を作ってくれた。




マスのような魚を見事な手つきで捌き、フライ用に下ごしらえ。
スパイスが効いたものと素揚げのもの、2種類用意してくれた。



おなじみの超酸っぱいシラーズサラダと共にいただきまーす。

うんまーーーーーーー!!!

なんじゃこりゃー。
イランでこんなにおいしい魚料理が食べられると思ってなかった。
そりゃそうだ。
彼はプロの料理人だ。

主食のサフランライスには、じっくり揚げたフライドオニオンとレーズンがトッピングされてるんだけど
これもまた美味。

あー、いい家族にお招きに預かったわ!

食事のあとはもちろんみんな昼寝して、暑さが和らぐのを待った。

夕方出かける前に、レイラが突然こんなことをパソコンに打ち始めた。

英語で伝えるのが困難なときには、グーグルの翻訳機能を使って何か言ってくる彼女。

「あなたたちの国の文化に、こういう習慣があるのかわからないけど・・・・・」

と前置きした後で、私のうちで使ってるシラーズ産のラグマットを是非是非受け取ってと
欲しいと言ってきたのだ。

午前中、ナザニンとのカーペット屋でのやり取りを聞いたレイラは、お店でぼったくられて
買うぐらいだったら、自分の家で使っている物を思い出として持って帰ってもらおうと
思ったらしい。

なんかもう、いい人過ぎるにも程がある。

わたしはこの時点ですでに、泊めてくれている恩に加え、スカーフやらアクセサリーやら香水やら、 この家の人からいろんなものをもらっていた。

イランではこうやって思い出の品を交換することを「ヤリガリ」と言うらしく、(私達がそう解釈
しているだけだとおもうんだけど、大体そんな意味だと思う)そのラグマットもヤリガリだと言っていた。

その心遣い、それはそれは嬉しいですよ。

だけど、流石に気が引けてしまう。

なので、少しお金を払うと言った。するとレイラは

「今後もしまた、お金を払うとかいったらKill youだからね!!!」と、屈託のない笑顔で
首を切る仕草をした。

参りましたーーー

このレイラという女性は、私がこの旅で出会ったイラン人の女性の中でも、かなり
前衛的というか開放的な人で、家の中では家族以外の男性(例えばマークス)がいても
スカーフはつけないし、肌も露出する。

何かにつけてチャイを飲むこのイランで、朝にはエスプレッソを飲み、食後には絞りたての
冷たいレモネードを作ってくれる。

女性が軽視される保守的な国で、レイラはけっこう適当に、そしてある程度は自分の基準で
人生を楽しんでいる女性という印象。

振り返れば、この人との出会いがこの旅で一番の宝物になったと思う。




夕方になり、日差しが大分和らいできた頃合を見て、私達はピクニックに出かけた。

連れて行ってくれたのは、レイラが自分のお店の他に掛け持ちで働いている会社の
社長さん。

シラーズの郊外20kmのところに庭付きの別宅を持つこの社長。

公共の場でパーティーをしてはいけないイランでは、お金持ちは郊外に週末パーティー用の
別宅を購入し、壁に隔たれた敷地内に家族・親族が大集結して夜な夜なダンスパーティーが
行われているそうだ。

この別宅も、そういう別荘が軒を連ねるうちの一件で、隣の別荘ではすでに若者が
大音量で踊りまくる様子が伺えた。

ちなみにかける音楽はイランの音楽じゃなきゃいけない。イスラム音楽でもいいのかな??

マークスが育った東ドイツでも、社会主義時代には資本主義国の音楽は禁止されていて
例えば、公共のコンサートでビートルズの曲を演奏するもんなら、秘密警察に通報されて
しまうなんてこともあったそうだ。

そういう時代に少し生きていた彼は、このイランという国の政治体制に東ドイツと同じものを
見出しては、懐かしさやらやるせなさで複雑な気持ちになっていたに違いない。



夜10時過ぎになってやっと宴の準備・・・・


色々な果物の木に覆われた敷地のメイン通り


宴といっても、お酒がないイランでは、ノンアルコールのビールみたいなものと、
水タバコ(イランではゲリヤーンと言う)で楽しく歓談すると言う感じだ。

イランのノンアルコールビール。とても甘い。


社長もTシャツになって完全くつろぎモード。イランおなじみチキンケバブ。



ダンス用のパビリオンで、まったり宴の夕べ

昼間の暑さが嘘のように、夜は涼しく快適に過ごせるイラン。

夜にこそピクニックはするもんなんだな。

この日も深夜1時ごろまで延々とおしゃべりして、ようやくお開き。

彼女達はしきりに、今日ここに一緒に来られたことを喜び、楽しそうにしている私達を見て
幸せだと言っていた。

あー、本当に良い人たちだ。

この恩をどうやって返せばいいんだろう。。。。


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