2013/08/21

シラーズ最終日と恋愛話

今回のイラン旅における重大なミッション。

それは、結婚指輪を買うこと。

しかも。。。。。友達の。。。。

こんな事頼む方も頼む方だし、軽く引き受けた私達もちょっと後悔し始めていた。

私とマーの結婚指輪は、マーがアルジェリアに行ったときにテュアレグという部族の
彫金師にお願いして作ってもらった。

その話を知っている彼らはイランのどこかでも作れると思ったんだろうか、それぞれの
指輪のサイズを私達に告げたあと、「後は君達のセンスを信頼して、任せた!」と
何の希望も言わぬまま、丸投げされたと言うわけだ。

まあ、給料の何ヶ月分とかはたいて結婚指輪を買うセンスもどうかと思うけど、そんな
一生モノとも言えるものを、人に任せるのもどうかと、後になってから思ったのだった。

そうは言っても買って帰らなければならない。

なのでレイラ姉さんの協力を得て、地元のシルバー職人のところに出向いて作ってもらう
ことにした。
バザール内の宝石セクション
しかし、1日で仕上がるものではない。

結局、イラン旅の終わりの方で訪ねる予定の、テヘランに住む知り合いの家に出来次第
郵送で送ってもらい、後日受け取った。

そしてその指輪は、先々週行われた彼らの結婚式にて、無事交換されたのでした。

シラーズ最終日。

バザールの買い物は、ボッタクリを心配した彼女たちの強力ガードの元、まず欲しい物が
あったら彼女達が店の人に値段を聞くなどして、徹底的に守ってくれた。

そんなこと心配しなくても、私的には良心的な商売人のほうがまだ多いと思うんだけど、
カーペットの一件で相当用心しているらしい。

まあ、おかげであらゆる物が安く買えたのでよかったけど。

こんなものも買いました。


シラーズの思い出。

ガンバリ家がペットとして飼っているヤマウズラの柄が入った織物。
これを見れば、いつだってレイラたちを思い出すことができるだろう。

50センチ四方のものが2枚繋がっているので、クッションでも作ろうと思う。


夜も更け、これから街が一番活気付いてくる時間帯に私達はバザールを後にして
バスに乗り込んだ。

バス停にはこんなものが。

仰るとおりでございます!!!


帰りのバスで隣りに座ったナザニン。

どういう気分だったのかは分からないが、何時になく真剣な顔で話し始めた。

「イランという国は、最悪よ・・・。
あなたたちはいいね、自由があって、どこでも好きな所に行けてさ。。。。」

あれれ?

今日の彼女どうしちゃったんだろう?

「イランでは、女性に自由はないわ。自由に恋もできない国なの。
男はただセックスのことしか考えてないし、1度体を許したら一生損するのは女なの。」

そんなことを、他の人が英語が分からないのをいいことに、赤裸々に話す彼女。

イランでもイスラム法に従って、結婚は男性の母親が妻となる女性を選ぶという
伝統が根強く残っているけど、若い世代の間では、婚前の交際も性交渉も影では
行われてる様子。

これバレたらかなりの重罪。

家族によっては一族の名を汚さないために、その行為に及んだ女性が名誉殺害の
対象になったりもする。

 それでも行為に及び、その後結婚に至らなかったカップルはどうなるかというと、ナザニン
曰く・・・・・

「処女膜を手術で再生するのよ。何もなかったかのように。。。。
私の周りにも何人かいるわ。だけど、ものすごくお金がかかるの。」

なんとまぁ、ショッキングな話だこと。

「あなたはどう思う?日本はどうなの?結婚する前にセックスする事ってそんなに
いけないことなの???」

ああ、赤裸々過ぎる。

彼女がどう反応するのか心配ではあったけど、私は私の思う所を正直に打ち明けた。

「あなたの国では、それは罪になるかもしれないけどね、日本では恋愛も自由だよ。
 婚前交渉がダメという人は、もちろん今でもいるけど、人を好きになってからだを求め合うのは
自然な成り行き。
 私はいけない事だとは思わない。」

24歳の女性との会話である。切なくなる。

そんなこと生まれてこの方聞かれたこともなかったので、とても困った。
いいんだよ、やっちゃってなんて軽々しく言えない。

大分遠まわしな言い方だけど、やんわり肯定するにはこういう表現しか思いつかなかった。

彼女は、私もそう思うとうんうん頷いた。

きっと今、恋焦がれる相手がいるんだろうな。。。


「ああ、どこか違う国に行って、自由になりたい。自由に恋愛したいなー」


来年には専攻している化学の勉強を終え、大学を卒業する彼女。
イラン人女性の大学までの進学率は軒並み高いのに対し、女性の社会進出が遅れている
この国で、就職先を見つけるのは困難極まりない。

せっかく勉強したのに、結局はその学問も生かせず好きでもない人と結婚して、子供を産んで
家庭内に留まるのがオチだと、自分の運命を嘆いていた。

自分の好きな人と思う存分恋愛をして、そして愛する人と結婚する。

そんな当たり前のことが、このイランという国では罪になることさえある。

 世界には自分では考えられない常識のもと、その国で生きている人がたくさんいる。

このイランの貞操観念もそういうものの一つだとしても、やりきれないものがある。

ナザニンが今イランで好きな人と手をつないで歩いたりすることはできなくても、もしかしたら
彼女の子供世代では当たり前になっているかもしれない。

かつて日本でもそうであったように、ありえない話では決してないはず。

そんなことを言って、この会話が終わる頃には家の近所のバス停に到着したのでした。

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