2019/10/02

2018年グルジア車中泊の旅_⑯テゥヘティの秘境オマロ




 久々の山岳トリップ。

断崖絶壁のすれすれロードの途中で、天然温泉に立ち寄ったりしながら
オマロを目指す。

このエリアも実に山深く、結構なアップダウンを繰り返しながら1日運転して
やっと峠に到着。




ここ以外に車を水平に止めて寝れるところも 見当たらなかったので
物凄く強風で寒かったんだけど、ここを寝床にする。

後からイタリア人のバイカーが壊れたバイクと共に近くにやって来て
彼もここでテント泊することになった。

昨日ティビリシを出てせっかくここまで来たのに、この山道が悪路過ぎて
故障してしまい、1速でしか走れなくなってしまったらしい。

明日どうにかしてティビリシに戻って、修理に出すと言っていた。




 翌日。

さらに複雑な山道を登ったり下ったりしながら、山奥を目指す。

 

 9月も下旬に差し掛かっていたので、山ごもりをしていた放牧民と
何百頭もの家畜たちが、キャラバンを組んで下山してきていた。

この山を下るには、1週間ぐらいはかかるだろうな。

 



そしてこんな山奥にも、ポツポツと集落をなして暮らしている人々がいる。

そういう所には、大抵食堂や宿もあるので、このド秘境のオマロへのルートも
欧米人に人気だと聞いた。





通りかかった集落の小さな教会。
 


中は数年前に改装たらしく、鮮やかなイコンがスバラシイ。





マークスの両親も5年ほど前だったか、この山地にドイツから車でやってきたことが
あった。

確か6月ごろだったけど雪解けの直後で足元が悪すぎて、結局オマロまで
たどり着けず、 泣く泣く引き返したという苦い思い出がある。

私達がこの山に入ったのは10月の始まりの週で、標高が上がると
すでに雪がちらついていた。

ここは1年の半分11月から5月までは雪に閉ざされた山地であり
観光で生計を立てている人達は、そろそろ下界に 移動する時間が
近づいていた。

山の住民たちにとっては、長い長い冬の始まり。
冬の間、生活に必要な物は定期的にヘリコプターで運ばれてくるらしい。



あと1週間遅かったら、きっと来ることはできなかったオマロに到着。

ここに来たのは、これ。



「馬に乗る」という、息子との約束を果たすため。

グルジアに行ったら馬に乗るんだと、ずーっと楽しみにしていた息子的には
この日こそが旅のハイライト。

しかし、ここに来れば馬を借りて山歩きが出来ると言う前情報はあったものの
何処で借りて良いのか分からなかった。

馬はそこら中で飼われている様子だったので、飼い主らしき人の家の門を叩き
貸してくれないかと尋ねて周った。

運よくその中の一人が私達に2頭の馬を手配してくれて、マークスと息子は相乗り
私は単独でさっそく散策に出かける。

目指すはアッパーオマロ。

このオマロから上へと山を登ってゆけば、要塞を構える小さな村があるらしい。


マークスは安定の綱さばき。

終始馬さんをちゃんとコントロールして、難なく山を登り切っていた。

私はと言えば、飼い主さんが私のために敢えて大人しくてノンビリな馬を用意して
くれたのもあり、オマロの集落内や周辺の道は順調に歩いてくれた。

 しかし、安心していたのもつかの間。

山登りに突入した途端、急に速度が遅くなり、それでもヘイヤヘイヤと
お腹の辺りを蹴って進もうと試みるが、そのうち微動だにもしない状態に。

仕方ないので降りて、私が綱を引きながら馬を誘導し、歩きだして
調子付いたかなという頃合いを見てまた乗り、それでも5分ぐらいしか歩かない。

で、また馬の上でヘイヤヘイヤ格闘し、降りて、引いて、また乗っての
繰り返し。

楽しくないーーーー。
焦るーー。
歩け、このポンコツ💢

そういうのが馬にも絶対伝わってる。

とにかく歩かない。

私を乗せて歩かない。

なので、もう引っ張ってゆくことにした。

馬を引いてトボトボと、2時間程の登山。

情けない。。。



アッパーオマロの要塞が見えたころ、山道もなだらかになったところで
もう一度乗馬を試みる。

すると村の入り口まではなんとか歩いてくれた。




ゴールまでもう一息。

しかしこのまま一気に駆け上がろう!と行かないのが、この老馬。
村の入り口でまた立ち往生。

またもや馬の上で悪戦苦闘しているところを、観光客がバシバシ写真をとって
通り過ぎてゆく。

撮るんじゃねーーー!

私のイライラと機嫌の悪さはMAXに達する。

馬はそれを察して、歩こうともしない。

悪循環そのもの。

結局また手綱を引いて、ゴールの要塞に到着。

私、馬の散歩しにここまで来たのか??



父と子はさぞかし楽しい山登り。

満面の笑みを浮かべ、待っていてくれた息子が駆け寄ってきた。

いいよいいよ、君に素敵な思い出ができたのならば。

「良かったねー、楽しいねー」と精一杯笑顔を作ってで答える。

内心はあのポンコツとの下山のことを考えるとゲッソリだったけど。

しかしそんな心配とは裏腹に、なんと下山はスムーズに歩いてくれた。

自分の住むオマロに到着する頃には、家の帰り方が分かっているらしく
駆け足で勝手に家まで走っていた。

ああ、楽ちん。

往路の苦労が報われた下山となった。

良かったね、君!

そんなこんなで登ってきた山道を2日かけてまた下り、テゥヘティの秘境オマロへの
山岳トリップを無事終えたのだった。

  
下山する放牧民とその仲間たち


再び、クヴェモ・アラバニのゴチャのお宅へ。

最後挨拶だけして早々に出発する予定でいたのだけれど、夕飯時だったので
またお母さんの家庭料理をご馳走になり、もちろん最後の晩餐なので
グルジア式酒盛りにも参加し、一泊することになった。

みなさんと今度こそ本当のお別れをして、翌日からは帰りの旅路。

西を目指して再び移動が始まり、次なる目的地は首都ティビリシへ。

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