2019/08/22

2018年グルジア車中泊の旅_⑮ブドウ狩り



一家が所有する5ヘクタールの農園の1部分にあるブドウの収獲。

 ゴチャの自宅から車で10分かからない所に、そのブドウ農園はあった。



朝早くから20人ぐらいは集まっていただろうか。

子供からお年寄りまで総出で、収穫作業が始まった。

特におばちゃんたちの作業の早さったらなく、私達が選別をしてやっと
バケツをブドウでいっぱいにしている間に、彼女たちは3倍ぐらいのスピードで
次々と収穫していた。

なんだか、私達は邪魔しに来ているんじゃないかという錯覚に陥った。


 


ブドウの栽培は、自然農法そのものなのは、足元の雑草を見れば一目瞭然だった。

ドイツのうちの近くにも、ワイン用のブドウ農園があるが、見事なまでに
雑草がラウンドアップか何かによって処理されている。

そんな光景をみると、地元産のワインでもあまり手が出せなくなったりもする。


 


 ここのブドウは正真正銘のオーガニック。

しかも作られるのは、一族の中だけでシェアされるあのアンバーワインなのだ。

どれぐらいの家庭がこういった畑を所有しているのかは知らないが、グルジアの家庭
特に地方で 飲まれているワインというのは、一般的に流通しているものではなく
圧倒的に自家製ワインが多いと思う。

そして、その自家製ワインというのも、市販のワインにとはまた違った味わいのある
美味しいワインで、一般の人々が作り方を熟知している。

逆に言うとあれだけワインを消費する国民なわけだから、自分達で作らないと
間に合わないという意味合いで、一家を挙げての重要な仕事なんだろう。




前半の作業を終え、お昼休憩。

ゴチャのお母さんが、ピクニック用のお昼ご飯をしこたまこさえてやってきた。

漬物、チーズ、採れたてのトマトにハーブ、絞めたての鶏で作ったやたらと美味い
サラダ。。。







そしてなんといってもコレ――――!!

グルジアには、国民食「ハチャプリ」を筆頭に、ピタパンのようなパンの中にチーズや
ハーブやお肉を包んで焼く食べ物がある。

この時お母さんが持ってきたのは、 ビーツとお肉と何かのハーブが入ったもので
とにかく美味しかった。

 そして大きな瓶に入って居るのは、もちろんワイン。

ここでは、水の代わり。

コップでガブ飲みー。

手作りのクブダリ↑↑↑

もうすっかりみんな酔っぱらって、私はてっきり今日の収獲のお疲れ会もかねての
昼食なのかと思いきや、グルジア人式の昼休憩ってことで、食べ終わったら
一息ついて、みんなまた素早く収穫作業へと戻って行った。

酔っぱらいながらの収穫作業がダルイの何の。

ただでさえ遅い手元が、酒のせいで何倍も遅さを増す。

ホント、邪魔しに来たみたいですみません。

そうこうしながらも、収穫作業は無事終了!

おじさん達はさっそく計量を始めていた。


 


そしてそのうちの何袋かは、業者らしき人に売っていた。

残りのブドウは、畑の近くに住む一族の身内の家に持ってゆき、ワインづくりが
さっそく始まった。


グルジアワインと言えば 「クヴェヴリ」という陶器のカメにブドウを入れて
それを地中に埋めて熟成させるという製法が有名で、本格的な家庭では
MYクヴェヴリでもって作ってる人もいる。

こちらの一家は 庭のハナレにある、ワイン小屋とも呼べそうな保存場所。

100リットルのプラスチックの樽が、20個ぐらい所せましと置かれていて
その一つ一つに採れたてのブドウを手動の破砕機にかけて、どどどどど――と
流し入れてゆく。


これは男の仕事。

ブドウの皮は破け、果肉や種までもがワインの材料になる。

 ヨーロッパなどのワインは、果実だけを絞るのが一般的らしいが
ここでは洗浄もせず、丸ごとだ。

まさに、ワイルドワイン。

カヘティ製法と呼ばれているらしい。

これが数カ月の熟成期間を経て、味わい深いアンバーワインへと変化する。

そういえばゴチャに、カヘティに来たからにはワインを買って帰りたいので
おススメの銘柄は何かと尋ねた。

すると、なんと、「ない」と即答。

家庭でこんな美味しいワインを作る人達には、あり得ない質問だったのかしら?

だけど、その理由も教えてくれた。

一般的に瓶詰され売られているワインは、発酵を止めるためにワインを低温加熱したり
濾過したり、添加物を入れたりするそうだけど、その過程でワイン本来の
風味というのが損なわれてしまうらしい。

「市販のはね、ワイン風の飲み物なの!」
おお、強気!

自家製生ワインを水のように飲み続けているからこそ、違いがわかるのかな。

でも、なんとなく分かる様な気がする。

我が家でも、リンゴジュースと花梨のジュースは自家製で、
市販の「100%」リンゴジュースとか飲んでも、全然イマイチ。

「瓶詰で果汁100%生搾り」で、やっと本物レベル。
 果実の味がちゃんとするやつ。
他はやはり「リンゴジュース風」という枠から、出られない。

そういう感覚なんだと思った。

あと、山水と都会の水道水の違いとかね。

私は帰り道のワイナリーで、カヘティワインを買うつもりだったんだけど

「そんなの買うのなら、これを持ってゆきなさい」

と言って、3リットル分のワインをペットボトルに入れて持たせてくれた。

しかし、忘れてはいけない。

これは、「生ワイン」

鮮度が命なのです。

1カ月後に開けたら、まー飲めたもんではなかった。

ペットボトルというのも、良くなかったのかもしれない。

しかし、この鮮度が落ちないうちに飲むってことは、これだけのワインを1年で
消費するってことですか、グルジアの民。

もしや世界一なのでは?と思い調べてみたら、グルジアはランク外。

でもデータは流通しているワインからの統計、一人当たりの消費量。

フランス、イタリアがもちろんトップだけど、自家製ワインの消費量を
反映させれば、グルジアがぶっちぎりで1位だと、私は思う。

そんな感じで、色々盛りだくさんだったクヴェモ・アラバニ。

いやー、よく飲んで、良く食べたなぁ。

現地の人を通じて、その国の文化に触れ合う。

そういう時間というのが、こういう旅をする私にとっては何よりも楽しみで
何よりも思い出深いものになるということを、再確認する。

やはり、旅は「人」ありきだ。

3日お世話になったカヘティ地方の楽園とは、しばしお別れ。

私達はここよりさらに北の山岳地帯「テュシェティ」 地方のさらなる秘境
「オマロ」というエリアを目指して、出発することにした。

 続

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