2009/08/11

Horse trip

ロシアの旅を終える前に、この旅で一番楽しかったホーストリップのお話。


かれこれ1ヶ月以上も前の話になりますが。。。

このツアーを企画したのはマーカスの両親で
彼らの旅の前半、1週間だけ合流して馬ツアーに出かけました。
前にも書いたけど、ロシア旅行は短期間でも
宿泊先などの予定を全部FIXしなきゃいけない。
彼らの旅を1ヶ月丸ごとオーガナイズしてくれた
サーシャというおじさんと、ドイツ語通訳のディマ君という
学生の子合わせて6人で、まずはイルクーツクから
200キロ離れた、ブリヤートが住む集落に向かい
その日は、ブリヤート人のある一家の敷地内にテントを張って
泊まらせてもらうことになった。

夕暮れ時、その敷地の馬広場みたいな所に明日から行動を共にする
馬たちが、続々と運び込まれてきた。

朝になって、ブリヤートのおじさん二人が早速馬に蹄を
つけたり、鞍をかけて準備をしだした。

4日間にわたる長旅なので、このおじさんたちも含む計8人分の
食料やら、テントやバックパックまで全部この馬たちに
積んでいかなくてはならない。
しかもその上に人まで乗せて山を登る馬の事を思うと気の毒でしょうがなかった。

さて、準備が整い敷地内で乗馬の練習でもするのかなぁと
思ったら 「はい、これ君の馬。今すぐ乗ってレッツゴー」

まさかの展開!
今日、生まれて初めて馬に乗る超初心者なのに、練習もせず
とりあえず、馬に乗せられて手綱を渡され
「右に曲がるときは右の綱を引いて、左は左を引く、
止まりたい時は両方引いて、たたくなり蹴るなりすればまた進むから」
それだけ言われて、一同なんと出発してしまった。

まったくありえないでしょう。
これがもし日本だったら(という発想自体無駄だけど)、まず馬に乗る
練習は絶対すると思うし、こういう類の旅には保険があったりするんじゃないかと思う。
だけど、さすがロシア。ぶっこみです。
ちなみに費用は5日間で一人約2万円ぐらい。

このツアーは、観光客向けのツアーとは違ってサーシャが個人的に
知っているブリヤートの人に頼んだものだったので
外国人慣れしていない村人の冷ややかな目で見送られながら
集落を抜け、村の後方20キロのところにある山へパカパカと歩いていった。





見た感じその山は、それほど高くなくてなだらかな優しい山に見えたので
馬で登るにはちょうど良いんだろうと安心していたら大間違い。

まさか馬用の山なんかでは決してなく、普通に人間が登る山道を
巨大な馬で行くツアーだった。
しかも断崖絶壁みたいなところまであって、これでいきなり馬が暴れ
だしたら、確実に死ぬでしょうという所も通過しなくてはならなかった。

あのー、ヘルメットとか一切ないんですけど。。。

道中。

休憩をする先々でシャーマニズムを信仰するブリヤートたちが
大地にウォッカを蒔いて山に感謝をする儀式が始まる。
一つのコップに入れたウォッカを回し飲みもしなきゃいけなくて、
ホントにきつかった。

私の馬は、中型の白い馬で名前は「ボロダイ」。
ブリヤート語の名前なんだろうけど、なんか頼りないなぁ。




ボロちゃんは、なかなか言うことを聞いてくれなくて、いつもビリで
勝手に立ち止まっては、草を食べたり他の馬につられていきなり走りだしたり
ほんとに困った馬だった。
これは私の技術の問題じゃなく、心の問題かもと思ったので頭や首を撫でて
色々話しかけたりしたんだけど、心を開いてくれることは最後までなかったです。

とにかく、徹底的に私に無関心で無表情なボロちゃんだったけど
慣れると面白いもので、初日の登山が終わるころにはすっかり乗馬が楽しく
なってきていた。

次の日も猛暑の中、急な山道をグングン登り続けた。
道中アブだらけで、容赦なく馬にたかり刺しまくるので私の白い
ボロちゃんも首元が血だらけになっていて、超かわいそうだった。
それでも彼は無表情にじっとり汗をかきながら登って行き、2日目には
標高2000メートルの地点まで辿りついた。

この日の夜、マーカスが付き添いの2人のブリヤートが狩りに出かけると
言うので、無理を言って連れて行ってもらった。



獲物は取れなかったけど、獲物をおびき寄せる沢山の方法や
山小屋での過ごし方など、いろいろ貴重な体験をしたらしくすごく
喜んでいた。
だけど、40度ぐらいの急斜面を馬で一気に駆け下りなきゃ
いけなかった時は、さすがに死ぬかと思ったらしい。

狩人たちの山小屋

                       
この山は、馬に跨る狩人が沢山いる。

私たちの馬も、こういう狩人が訓練して慣らした馬だったんだろうと思う。
だから、初日に何の練習もしなくてここまで来れたんだろう。

山では狩人はとても尊敬される存在らしく、まず彼らに会ったら
食事をしている時でも、一旦中断してまずはお茶を入れてあげて、
相手が望めば食事も分けあう。
狩人同士はもちろん、偶然出くわした旅人に対しても、
これは山で活動する者の礼儀作法で、これが出来ない失敬者は
狩人界で評判が悪くなるらしい。

私たちが食事の準備をしていると、3人の狩人がやってきた。
毛皮で出来たベストを着ている、いかにもな
マタギ・オン・ザ・ホース。
「かなり撃って来ましたけど」的な空気をぶんぶんに醸し出してる、
ブリヤートのイカつい3人組。
捧げたお茶を飲み干し、くわえタバコをペッっと地面に叩きつけて、
「じゃあ行くわ」と帰り際、熊の生肉とか出てくるのかと思ったら
かばんの中から取り出し差し出されたのは、大量の塩漬けしてある魚だった。
自分たちの食料の残りだったらしい。

アレ、あれれれれ、魚なんすか?

なんか、なんともいえない残念な気持ちになった。

というか、私が何かに期待しすぎだっただけか。





最後に写真を一緒にとってもらい、彼らはまた馬に乗り夕日の中に消えてった。
手ぶらで帰ったら、母ちゃんに怒られたりすんのかなぁ。

翌日から、今度は山下り。
ここでもまた断崖絶壁の斜面があって、ボロちゃんは容赦なく駆け降りようと
するので、ここは綱を引いて一緒に歩いて下った。
登りより降りるときのほうが、何倍も怖い。



ようやく山を抜け、村が見渡せる草原が目の前にブワっと広がった瞬間
馬たちも帰りを喜んだのか、なんと一斉に走りだした。

どんなに綱を引いても止まってくれなくて、しがみつくように乗っていたら
だんだん波に乗ってるような感じになってきて、最終的には走ってる馬に
乗れちゃっている自分がいた。

この3rdギアが、実は一番乗り心地が良く楽で何よりも一番楽しい!
落ちたら危ないけど。
だけど、これは他の馬がみんな走り出したから、ボロちゃんもつられて走ったのであって、
1stから3rdに速度をかえたり、急ブレーキで馬をちゃんと止めるたり
するにはまだまだ練習が必要。

それができるようになったら、もっともっと馬と遊べるんだろうな。

ドイツに帰ったら、馬に乗れるところが近くにあるみたいなので
もうちょっと練習てみたいな。

それと普段山に登るときは足元を見ながら登るのでなかなか景色が
目に入らないんだけど、馬登山は座ったまま自分を運んでくれるので
ずっと空を見たり、遠くの景色を眺めながらも進んでいくので結構心地良かったです。



あと、馬って立って寝るんだという事も初めて知りました。

そんなこんなのホーストリップ、ドイツの両親とも2年半ぶりに再会し
今度は家族になって旅が出来たこともあって、ロシアでの一番楽しい
思い出になりました。


2 件のコメント:

  1. 写真みたよー!
    素晴らしい世界だね。

    というか写真がとってもすてきだね。
    カメラも良いのだろうけど、腕が良いのかな?!

    私もいつかモンゴルで馬で草原を駆けたくて、こないだ乗馬クラブお試し体験に行ったよ。

    でも・・さすが日本・・・。
    てくてく歩くばっかりでつまらんかったよ。
    でも馬かわいいし、楽しかった!!

    中央アジアで会えればよいなー。

    FROM 史絵

    ****

    日本は暑いよ。そっちはどう?
    寒そうだね。
    FROM 旦那

    返信削除
  2. おひさしぶりです りさです
    なんかいつ見ても最初のページしかでてこなくて、更新されてることに今日気づいたよ・・・なので一気読みしました!
     想像力が乏しくて悲しいがことみちゃんの話を聞いてるようで楽しい
    相当楽しくないこともあったようだけど・・・ぶじでよかったです
    わたしもこの夏はじめて一人で本州を離れたりしました
    全然わたしゃ何も知らんね
    このノリでドイツにもおもむき、そこでぱーっとやれるのをたのしみにしてます
    よいたびを!

    あとあとことみちゃんの後輩だかなんかのあべさんとゆうひとにいれずみいれてもらいました こんどみせます

    りさ  サンラーイズ

    返信削除