2016/09/01

ニッポン車中泊の旅_熊野古道

海沿いを南下して漁港の町尾鷲に向かう途中。

トイレ休憩で立ち寄ったところが、ちょうど熊野古道、始神峠の入り口だった。

天気のよい日で原っぱに車を止めて、お昼ご飯を作って食べた。


桜さいてないねー

原っぱには大きな桜の木があって、その週末には桜祭りが行われるらしく、町の職員たちが
下見にやって来ていた。

3月の下旬。
西の方はもっと桜が咲いてるかと思ったら、この紀伊半島の地でさえも3分咲きぐらいだった。

桜祭りは桜なしだったんだろうな。

満開の頃を見据えて開催してるんだろうけど、自然が相手ですからね。
いつも人間の思うとおりに行くとは限らず。





腹ごしらえもしっかりして、坊をお昼寝させるのにもちょうど良かったので、熊野古道
歩いてみることにしました。



全部で1時間半ぐらいの初心者コースの始神峠。
去年のポーランドの旅から山歩きはしていなかったので、慣らしの為にも最適なコースだった。





峠のあちこちには、八朔みたいな柑橘系の木が植わっていて、取り放題。

私にはとても口を付けられるものではなかったけど、レモンを丸ごと食べられるマークスに
とっては、天国のような所だったようで。

さすが紀伊半島。


頂上からの眺め。山の下にすぐ海というのも日本ならではだな。

サクッと短時間のトレッキングを終え、日が暮れだす前に寝床探し。

世界遺産の熊野古道とは言っても、入り口やコースもたくさんあって、この始神峠もその中の
一つなんだけど、周辺にはほとんど何もなかった。

ここに熊野古道が通っていなければ、まず見落としてしまう町だけど、私たちはたまたま
運よくここに導かれ、結果この旅でも最も印象深い景色の一つに出会うことができた。


寝床探しでさまよっていたらこんな景色に出会ってしまった。

紀伊の松島とも呼ばれるこの景観。

素晴らしい眺めだった。

タイとかクロアチアでこんな風景をみたことがあったけど、 祖国にこんな景観を望める所が
あるだなんて、知らなかった。

私は日本のことなんて何にも知らないんだと思った。

思えば東京で生まれ育って、あそこで生きてきたけど、いつからか「ここを出なきゃ」って
ずっと思ってて、で、なんで海外に目が向いてしまったのだろうかと思う。

もっと日本のことを良く知っていれば、「ここ」以外の選択肢が日本の中にもあったかも
しれない。

なんて、今となってはどうにもなりそうもないことを、島々の先の先を見渡しながら
ぼんやり考えていたことを思いだした。


さて。

夏にもなればこの辺りは、海水浴でにぎわうんだろうか。

海岸沿いには駐車場があって、この日はそこに1泊することにした。

大きな大きな駐車場を独り占め。

この旅で一番良かった車中泊スポットだった。

夜は満月で、散りばめられた島々が月の光の中で揺れていた。

小さな波の音と、砂が引いてゆく音と。

とても幻想的な夜だった。







翌朝。


天気が良かったので布団を干す


駐車場のすぐ脇にあった神社を覗きに行くと、なんということでしょう!



神社の存在感からは想像できないぐらい大きな大きなた大木が鎮座していた。

これにはマーと2人で大興奮だった。

樹齢1000年以上の榊の木で、周囲は11メートルにも及ぶ。

 私はここを勝手に神聖なパワースポットとして認定することにした!







こういう巡り合わせがあるから、あてずっぽうの旅は面白い。

道を逸れると、旅が俄然面白くなるんだ。

神なる巨木を沢山写真に収めて、ここを後にする。



。。。そして、後で行った町で聞いた話。

コインランドリーで会ったオジサンとこの木の話をしたんだった。
それはそれは大きな大木があって、すごかったんですよって。

「ああ、パチンコの木の所ねぇ」

聞くと、あの大木の裏には杉の木があって、その木の皮を剥いでポケットに忍ばせると
パチンコに勝つというジンクスがあるらしく、通称ギャンブル神社で名が通っているそう。

ああ。。。。私のあの清々しい 気持ちが、なんというか台無し。

目を閉じて木に抱きついちゃったりして。

ギャンブルの神様がいたとは、つゆ知らず。。。



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