2013/12/11

準備5時間、食べるの10分


早速魚を持って帰ってからは、この何百匹もある魚の下ごしらえ。

切り株に腰をかけて3人の男たちが、まず魚の頭を捥いで、指でお腹を開けて内臓を
取り出すという作業。

これを延々2時間ぐらいやっていた。

昨日の料理の準備もそうだったけど、ものすごい細かい作業に時間をたーっぷりかけながら
家族と一緒に黙々と作業する。

親子三代が毎日一緒になって料理をする姿。
今ではなかなか見られない光景だと思う
食べるのなんか一瞬だけど、時間は惜しまない。

前にどこかの家で食べさせてもらった物に、しその葉よりも小さいブドウの葉っぱに
米を詰めて巻いたトルコ料理のドルマというものがあった。

仕上がりは2センチぐらいのロールキャベツみたいなもの。
これを何百個も作り煮込み料理に入れるという、なかなか手の込んだ料理っだった。

これも2時間ぐらいかけて準備した記憶がある。

トルコの料理は食の世界遺産だかなんだかに登録されているけど、多分味だけではなくて
こういった文化的な背景も登録される理由になったのではないかと思う。





おじさんたちが作業している間、女たちは魚と一緒に食べるパンを焼く。

この家にはちゃんと近代的なキッチンもあるんだけど、料理するのはもっぱら野外。
煮炊きもできる専用の小屋があって、今でも毎日そこに火をくべて料理するのだ。

なぜかと理由を訪ねると、やはり焚き火で料理したほうがおいしいからだそうだ。

わかるわー、その気持ち!



あー、しかしなんてのんびりな生活なんだろう。
毎日がピクニックみたい。

妹とお母さんは慣れた手つきでパンを焼きあげると、お次は魚の調理にとりかかる。

これももちろん焚き火の上で。

              


魚はシンプルに、骨ごとじっくり揚げて、こんな風にして頂きました。


焼きたてのユフカにカリッっと揚がった小魚と、ネギたっぷりのすっぱいサラダを巻いて
頂きます。

シンプルだけど、めっちゃ美味い。
ここでもまた自給率100パーセント。(レモンは私たちの持ち込み品)

魚を獲りに行ってから、それが料理になって口にするまで5時間ぐらいはかかってるけど
チャイを飲みながら、みんなでゆーっくりと準備をして、そしてみんなで食べる。

幸せだなーと、しみじみ。。。

モフリスは私たちをゲストだから厚くもてなすというより、ありふれた日常にすぃーっと
引き入れてくれる、そんな感覚がものすごく心地よかった。

だから、彼の仕事も手伝いに行ったし、子供たちを連れて散歩にでかけたり、食料を
調達しにも行った。



 何よりも、彼が子供のように嬉しそうにして話すドイツ時代の思い出話が、とても面白かった。

こんな純粋な大人というのは、久々に見たなー。

翌日、私たちは出発することにしたが、その別れをモフリスは惜しむことも無い様子で

「またいつでも遊びにおいで、僕たちはいつでも君たちを待ってるからね」

と、またいつか絶対に会えることを確信しているかのように、スッキリした笑顔で私たちを
見送ってくれた。

出発する前には、妹とお母さんが私の大好物のトルコ料理「ギョツレメ」を作ってくれて
最後にみんなで食べてお別れした。





ある日偶然に出会った、小さな村に暮らすトルコ人一家。

 こういう人たちの出会いが、私たちの旅では何よりも思い出深いものになる。

そして、1度会ったきりもう2度と会うことがない人でも、強烈に胸に焼き付いてる人が
今まで訪れた国には何人かいて、その人と過ごした日々の事や、もしくはほんの一瞬の出会い
だったとしても、何年経っても鮮明に覚えている。

名前だって覚えている。

モフリスは間違いなく忘れられない人になるだろうな。

そういえば、彼の家に水筒を忘れてきてしまったので、それを理由に、と言うかそうじゃなくても
また会いに行きたい。

トルコにはそんな家族が結構いたりします。

そして、私の距離感も今では大分おかしな事になってきているんだけど、トルコぐらいまでだったら
毎年車で遊びに行ける所という感覚です。

トルコなんて、近い近い!

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