2009/07/01

ランクル誘拐事件(1)


話のいきさつはこうです。

まず先週1週間はホントにすばらしい日々だった。

マーカスの親と合流して、ここイルクーツクから200キロ離れた
ブリヤートの村に泊まり、そこから20キロ離れた所まで馬で移動し
さらに2000m馬で登山した。

4日間も馬に乗ってれば慣れるもんで最初は怖かったけど
最終的には3rdギアの状態で乗ることができた。

このホーストリップについてはいずれ報告します。

この馬旅から帰って来たその日、モンゴル領事館にビザを
取りに行った。

翌日にはモンゴルに向けて国境まで行く予定だった。

こっちで知り合いになった子のうちでパソコンを使わしてもらい
洗濯して、日本食を作りその日の夜は近くの駐車場でルーフテントを広げて寝た。

翌日、買い物をすまして出発しようと思ったんだけど、そのお家に
色々な旅人が訪れ長々と話し込んでしまい、出発するには遅い時間になってしまったので、
その夜は、寝袋と歯ブラシセットだけ車から取り出して、そのお家に泊まらせてもらった。

車はマンションの真下にある駐車場に泊めた。

事件発生当日、朝食を済まして他の旅人たちにお別れをして駐車場に向かった。

でも車がない。

「あれ?ここに泊めなかったっけ?」

一瞬ゾクっと鳥肌がたった。
そんなはずはないと思い見回ったけどどこにもない。

「いやいやいや、うそでしょ、駐車違反とかで持ってかれた?」

ロシアで駐車違反の取り締まりなんてありえない。

やっと状況が飲み込めたのは、数分後。

やられた・・・

お互い言葉が出ない。

わたしはその場でヒザが崩れ、マーカスは頭を掻きむしり、立ちつくしていた。

放心状態とはまさにこういう事だ。

なんだかよく分からない状況の中、さっきお別れしたはずのみんながいる場所に
戻った。

もう混乱しすぎて、あまりよく覚えて居ないのだけど、ここに居た人たちの
協力体勢が迅速で、ありがたいったらなかった。

ロシア語が話せて手が空いてる人が数名ヘルプを名乗り出てくれて、
1時間後には彼らと共に、警察の取り調べ室にいた。



警察の態度は超傲慢で、ホント腹が立ったけど怒りを抑えて取り調べに
応じた。

何箇所もたらいまわしにされ、何箇所もサインをして4時間ぐらいの後
開放された。

警察が言うに、車を一番手っ取り早く見つける方法はビラを町中に
張ることと、テレビの文字コマーシャル(画面のしたにテロップが
流れるやつ)に連絡先をのせて、犯人からの連絡を待つとのことだった。

そして、車はちゃんとあるからとにかく焦らず待てとのこと。

ロシアでは頻繁に起こる「車誘拐」。
どうやらこの罠にはまってしまったみたい。

手伝ってくれてる二人と、明日の予定をたてて別れるが家ごと盗まれた為
今夜泊まるところがない。

二人で途方にくれたが、寝床も手配してくれた。

白いズタ袋のようなマーカスの寝袋の袋に自分たち持ち物を詰め込んで、
手伝いの一人が紹介してくれた他の友達のお家に行く。

ほんと、みんな良い人たちだ。

私たちが歩く姿は、ロシアでホームレスになったサンタクロースと
その妻みたいだと後で人に言われた。

「サンタクロースと結婚した覚えはないでしょ?」

なんてうまい冗談を言われるが、笑えない。

夜寝る前に、無くしたものはなんだっけってずーっと考えてた。
あれも、これも、それにあれも・・・・・・・・・・・・
気が狂いそうになる。
冷静に考えられる事なんかでは決してないんだけど
今持ってるもの以外、全部なくなった。

これが答え。

2 件のコメント:

  1. ワカナです。

    まさにありえない状況ですね。
    自分だったらって思うと想像もできない(;´Д`)
    でも、怪我とか命に関わる事件じゃないのは良かった。
    マーカスと協力して乗り越えてください。
    きっと車戻ってきますよ!

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  2. @わかな
    ホントありえないよね~
    超へこむけど、だいぶ前向きになってきたよ。
    頑張ります。
    心配してくれてありがとう!!

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